かわずの音の葉

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【考察】HAKU / ROTH BART BARON

燃え上がった心を鎮火し、灰からの再生と変化を願う。

アルバム「無限のHAKU」がリリースされたのは、2021年12月。
コロナ禍の混乱がようやく落ち着きはじめ、ニューノーマルが浸透しつつあった頃です。

「心が静かにチューニングされていく感覚をサウンドで作りたい。」
「人が癒される、心が治っていく、リラックスするアルバムにしたい」
インタビューで、三船さんはそう語っています。

この言葉のとおり、アルバム「無限のHAKU」の収録曲では、ROTH BART BARON特有の躍動感は控えめで、静けさを感じさせる曲がいくつもあります。
例にもれず「HAKU」においても、ギターがかき鳴らされることはなく、アルペジオやスタッカートを効かせたコードストロークが主体になっています。その背後でストリングス・シンセ・ベースが、丁寧に余白を埋めるように重ねられている。

そして、「HAKU」の歌詞においても、心をチューニング(鎮火)するような表現が見受けられます。
以下、歌詞を読み解いていきます。

 

<メロ1>
心を 燃やして
油を 燃やして
魔女を 燃やして

さあ次は 何を 燃やしましょう?

ソーシャルメディア上のトピックスに対して、感情をむきだしにして騒ぐ人々を描写しています。ひどいときには、中世の魔女狩りのごとく、特定の個人を火あぶりにする。
絶え間なく持ち上るトピックスに、火をつけて廻る。
コロナ禍も、そして今現在もみられる光景です。

白と黒、敵と味方をはっきりと切り分け、線を引く。

<サビ1>
君の血は 何色だ?
何色でも 構わないよ
形を 変えてゆく
僕たちが 怖いかい?

構図として、”君”はソーシャルメディア上で誰かを否定する側の人間であり、”僕たち”は否定される側でしょう。
“君”も”僕たち”も体を開いてみれば、同じ血の色をしているはずです。
でも、仮に違っていたって構わないではないか。
血の色や形が違うことが、恐ろしいの?
だから否定するの?という問いかけに思えます。

 

<メロ2>
人に触れるのは
とても怖いことだろうか?

それでも僕らは
誰かに触れたいと願うのだろう

はじめの一節は、コロナ禍を意識した言葉でもあります。
「(感染のリスクがあるから)むやみに人に触れてはいけない」
そういう風潮の中でも、僕らは誰かに触れたいと願う。
そうあって欲しいという願望のようにも思われます。

 

<サビ2>
何が ダメですか?
僕らでは ダメですか?
ゲームを 降りたら
掟破りと呼ばれますか?

”僕ら”を否定する人たちへの問いかけが続きます。
”僕ら”は”君”のように、火をつけて廻るゲームには参加しない。
それは、異端とみなされるでしょうか。

 

<サビ3>
君の血は 何色だい?
何色でも 変えてやるよ
形を 変えてゆけ
新しい血の色で

「HAKU」の歌詞には、問いかけの言葉が多くみられます。
簡単に誰かを否定できるその心持ちが、理解できないのでしょう。だから、問いを重ねる。
まるで、問いを重ねることで考えを促し、燃え上がった心を鎮火するように思えます。
そうやって”君”を変えてやるのだ、という意思が感じられます。

燃え尽きて残るのは、くすんだ白色の灰です。
不死鳥は灰から蘇り、植物は土壌に還った灰を栄養にして育ちます。
”形を 変えてゆけ/ 新しい血の色で”は、灰になった”君”の再生と変化を願った言葉ではないでしょうか。

 

【基本情報】

「HAKU」は、ROTH BART BARONの6th アルバム「無限のHAKU」(発売日:2021年12月1日)に収録されている曲です。

「HAKU」はYouTubeから視聴できます↓

www.youtube.com

ROTH BART BARON/ 三船 雅也さんの紹介記事はこちらから↓

フォークロックバンド「ROTH BART BARON / 三船 雅也さん」の紹介 - かわずの音の葉

 

(初稿:2025年6月18日)
(水彩画追加:2025年10月26日)