かわずの音の葉

聴く、読む、歌う。 音楽にまつわる活動から、知ったこと、考えたこと、感じたことを記事にして発信します。

【読書レビュー】実践ボーカル力養成講座/チョン・ギヨン

本書は、「独学でボイトレしてミックスボイス(※)で歌えるようになりたい。でも、どんなトレーニングをしたら良いかわからない」という方に読んでいただきたい本です。
理論的なところに踏み込んだ本なので、そういったことにも興味あるよ!という方には、読み物としても楽しんでもらえると思います。

※: ミックスボイスとは、芯のある高い声を楽に発声する歌唱法のことです。

 

【あらすじ】
人体の構造や発声原理など確立した理論に基づく、具体的かつ詳細な訓練法を記載。
さらに、基礎的な音響知識や体調、声の管理法などにも触れ、独習テキストとしても最適。本格的シンガーを目指す学習者、さらに上を目指すボーカリスト、そしてボーカルトレーナーなど必携の一冊。

〜本書の紹介文より〜

 

【本書のポイント】

  • 発声、呼吸、共鳴の原理が、人体の構造にもとづいて解説されています。原理から知っていると、ボイトレで行き詰まった時に、自分で考えたり、学んだりする土台になると思います。
  • ミックスボイスタイプを理想的な状態とし、発声タイプを5つに分類した上で、タイプごとのトレーニング指針と方法が示されています。自身の発声状態を理解できて、トレーニング指針が得られるのは、とても役にたつと思います。
  • そのほかにも、ボーカリストが知っておくべき知識や心構えが、幅広く解説されています。

本書を読んだ上でボイトレに励むと、効率よく上達できると思います。
気になった方は、ぜひご一読することをオススメします。

 

「実践ボーカル力養成講座」の商品リンクはこちらから↓

 

ちなみに、YouTubeチャンネル「東本ボイストレーニング」でも本書の内容を多く取り入れている印象があります。「東本ボイストレーニング」のチャンネルでは、実用的なトレーニング用動画も多数あるので、トレーニングの実践はそれらの動画を活用するのがオススメです。

オススメの動画についてはこちら↓の記事をご参考にどうぞ。

kawazu-no-otonoha.hateblo.jp

kawazu-no-otonoha.hateblo.jp

 

(初稿:2024年10月6日)

おすすめのボイトレ動画〜共鳴編〜

本記事では、独学で豊かな響きのある声を出せるようになりたい!という方に向けて、おすすめのボイトレ動画を紹介します。

 

歌っていて、「自分の声には魅力がない。才能ないのかな…」と思ったことはありませんか?
たしかに、声質は生まれ持ったものであって、変えることはできません。
でも、声の魅力を決めているのは、声質だけではありません。
声の”響き”も重要な要素であって、”響き”を豊かにすることで、声の魅力を引き上げることができるのです。

 

ここで、声の響きを豊かにするためには、「共鳴」という概念を知る必要があります。

 

音は、空間があると反響して、豊かな響きをもって増幅されます。
例えば、お風呂場で鼻歌を歌うと、気持ちよく響いて気分がいいですよね。
あれと同じことを、歌唱技術によって意図的に引き起こすことで、響きの豊かな声を「共鳴」によって作り出すのです。

 

では、どうすれば響きの豊かな声を、「共鳴」によって作り出すことができるのか?
そのためには、声帯で作り出した音を、喉・口・鼻といった空間(共鳴腔)で響かせる感覚を養う必要があります。特に、口腔と鼻腔に着目して、共鳴感覚をトレーニングします。

 

共鳴腔の図解

声帯(せいたい):ここを空気が通過すると声の原音が発生します。
喉頭(こうとう)、咽頭(いんとう):のどの空間(空気や食べ物の通り道)です。
口腔(こうくう):口のなかの空間です。
鼻腔(びくう):鼻のなかの空間です。

 

じゃあ、具体的にはどうやってトレーニングしたらいいの?ということで、おすすめのボイトレ動画をご紹介します。ぼくのおすすめはこちら↓の動画です。

 

<口腔共鳴>
こちら↓でやり方を覚えて!

www.youtube.com

 

こっち↓でトレーニング実践!

www.youtube.com

 

<鼻腔共鳴>
こちら↓でやり方を覚えて!

www.youtube.com

 

こっち↓でトレーニング実践!

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おすすめポイントは以下の3点です。

  • 講師の東本さんは、4000人以上のボイストレーニング実績があり、信頼できる。
  • 何のために、どのようにトレーニングすべきかを、理論的に納得感のある説明をしてくれる。
  • レーニング用の音源もセットになっているので、実用性が高い。

 

ぼくは、この共鳴感覚のトレーニングを続けることで、以前よりも声音が安定したり、声に厚みが増したりといった効果を実感できています。
興味を持った方は、ぜひこの動画でボイトレにトライしてみてください!

 

ちなみに、歌が上手くなりたいけど、どうしてもボイトレが継続できないんだよな・・・という方は、こちらの記事↓もご覧ください。

kawazu-no-otonoha.hateblo.jp

 

 

(初稿:2024年9月29日)

【楽曲レビュー】アルミニウム / ROTH BART BARON

【基本情報】
「アルミニウム」は、ROTH BART BARONの2nd EP 「化け物山と合唱団」の最後に収録されている曲です。ROTH BART BARONの楽曲としては珍しく、歌とアコースティックギターのみで構成されています。

 

「アルミニウム」はYouTubeから視聴できます↓

www.youtube.com

 

ROTH BART BARON/ 三船 雅也さんの紹介記事はこちらから↓

フォークロックバンド「ROTH BART BARON / 三船 雅也さん」の紹介 - かわずの音の葉

 

【考察&感想】

息をする喜びは、ほんの束の間。それでも、僕らは生きていく。たった一人ではないのだから。


考察に代えて、歌詞を引用しつつ、そこから想像される物語を書いていきます。

 

僕らの作った木の船は ほうら今にも沈みそう
あたりはすっかり夜になり 漆黒の海が呼んでいる

→ 頼りない船に乗り、不吉な海に漕ぎ出す。
  僕ら(僕と君)の旅がはじまる。

月の光は明るいが 人の灯りは見当たらず
どんどん染込む暗闇が 僕の顔を映してる

→ 僕らだけの旅。
  他の誰も道を示してはくれない。
  漆黒の海が、周囲を包む夜が、僕を浸食する。

熱はだんだん奪われて 深い深い海の底
浮いてこれなくなるまで 手足を動かし続けるよ

→ 海に飲まれた僕ら。
  冷たい海水が、僕らの熱を奪っていく。
  それでも、生きるために、息をするために、
  必死でもがいて、海面から顔を出す。

それでも君が笑うから つられて僕も笑ったよ
アルミニウムの空の下 二人どうやって生きようか

→ 海面から顔を出した君は、息をする喜びを顔に湛える。
  僕は、それを見てつられて笑う。
  こんなに冷たく、無情で、日も射さない。
  こんな空の下であろうと、君と僕は息をする。
  さあ、これからどう生きつづけようか。

 

「アルミニウム」の歌詞に現れている情景は、どうにも生き難く、寄る辺ない、この世界を描写しているように感じられます。その中でも生きようとする。それは何故でしょうか?

 

“In the same boat”という英語表現があります。
何か大変なことや困難な状況に対して、「あなただけではなく私も一緒ですよ」と共感を表すフレーズです。
「化け物山と合唱団」を制作していた当時、ROTH BART BARONは、三船さんと中原さんの2ピースバンドとして活動していました。「君」とは、今まさに苦楽を共にする中原さんのことなのかもしれません。

 

僕らは、たった一人ではないから、こんな世界でも生きてみようと思えるのでしょう。

 

 

(初稿:2024年9月22日)

フォークロックバンド「ROTH BART BARON / 三船 雅也さん」の紹介

本記事は、フォークロックバンド「ROTH BART BARON / 三船 雅也さん」の紹介記事です。

 

-------------------目次-----------------------

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<プロフィール>

ROTH BART BARONは、シンガーソングライターの三船 雅也さんが2008年に結成したバンドである。結成当初から中原 鉄也さんとの2ピース体制で活動していたが、2020年7月に中原さんが脱退。以後、三船さんを中心として、サポートメンバーと共に活動を続けている。

少年のような心持ちで現実世界を見つめ、歌詞にして描き出す。そのまなざしには、この世界に対するネガティブな感情が垣間見える。加えて、飛躍した空想世界も描写されることで、矮小にとどまらない、スケールの大きな世界観が感じられる。
ファルセット(裏声)を主体とした歌唱、弦・管・打楽器といったアナログと、電子楽器や録音・編集によるデジタルを調和させた楽曲が特徴。歌詞の描く世界観と相まって、自由で壮大な音風景が描かれているように感じられる。

 

<創作活動のきっかけ>

中学生時代はテニスに夢中になり、プロを目指すも挫折。14歳で両親が諍いの末、離婚。
これらの影響もあってか、高校入学後1年経たずに中退。以後、2年ほどひきこもりとなる。
この間に、音楽、映画、文学を大量にインプット。同時期に、初めて自分のギターを買って宅録を始める。また、幼少期から親交のあった学習塾の先生から、コンピュータを使ったレコーディングを教わり、音楽制作にのめり込んでいった。

 

<バンド名の由来>

白鳥の湖に登場する悪魔の名前(ロットバルト男爵)からとったもの。
幼稚園のときに、先生に指名されてロットバルト男爵を演じたことがある。みんなが舞踏会で踊っているのに、自分だけが死ぬ役であったことが印象に残った。
自分は、みんなとは違う。そんな疎外感が選ばせたバンド名なのかも。

 

(初稿:2024年9月22日)

おすすめのボイトレ動画〜ミックスボイス編〜

本記事では、独学で芯のある高い声を楽に出せるようになりたい!という方に向けて、おすすめのボイトレ動画をご紹介します。

 

歌っていて、こんなこと↓ありませんか?

  • 高い声を出そうとすると、喉を締め上げるようになって苦しい、喉が枯れる。
  •       〃       息漏れするような弱々しい声になってしまう。

ここで必要とされるのが、「ミックスボイス」という発声技法です。
ミックスボイスとは、低音から高音までを滑らかにつなげて、芯のある声を楽に発声する技法のことです。ミックスボイスをマスターすれば、上記のような悩みを解決することができるのです。

 

じゃあ、どうやってトレーニングしたらいいの?ということで、おすすめのボイトレ動画をご紹介します。ぼくのおすすめはこちら↓の動画です。

youtu.be

 

おすすめポイントは以下の3点です。

  • 講師の東本さんは、4000人以上のボイストレーニング実績があり、信頼できる。
  • 何のために、どのようにトレーニングすべきかを、理論的に納得感のある説明をしてくれる。
  • レーニング用の音源もセットになっているので、実用性が高い。

ぼくも、この動画で週2回トレーニングを行うことで、3ヶ月で改善を実感し、半年で辛い喉締めがなくなりました。
今では低音から高音まで滑らかに、芯のある声を楽に発声できるようになったので、この動画には本当に感謝しています。

 

興味を持った方は、ぜひこの動画でボイトレにトライしてみてください!

 

ちなみに、歌が上手くなりたいけど、どうしてもボイトレが継続できないんだよな・・・という方は、こちらの記事↓もご覧ください。

kawazu-no-otonoha.hateblo.jp

 

(初稿:2024年9月15日)

 

【読書レビュー】小さな習慣 / スティーヴン・ガイズ

本書は、ボイトレや楽器の練習が続かない・・・という人にぜひ読んでもらいたい本です。
ぼくも、この本で解説されている「小さな習慣」のおかげで、ボイトレが続けられています。

 

【あらすじ】

小さな習慣とは、毎日これだけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動です。“小さすぎて失敗すらできない”ものなので、気軽に取り組むことができ、それでいてびっくりするほど効果があるため、新しい習慣を身につけるには最適な方法といえます。
小さな習慣を使えば、世界中の誰よりも、あなたの人生を変えるチャンスが高まります。
習慣が長続きしないのは、自分自身に問題があると考える人が多いようですが、本当はやり方が間違っているだけなのです。

〜本文の”はじめに”から引用〜

 

【本書のポイント】

  • 小さな習慣とは、新たに習慣にしたいと思っている行動を、もっと小さな行動にしたものです。 例)毎日100回腕立てをする!→毎日1回だけ腕立てをする。
  • 小さな習慣は、とても簡単な行動なので、ほんの少しの意志力があれば継続できます。つまり、モチベーションに頼らずに、行動を習慣化しやすいのです。
  • 小さな習慣を繰り返すことで、いつの間にか大きな行動や成果に発展します。付随して、自己肯定感が上がったり、意思力が強くなったりと、様々な良いことが起こります。

この本で人生変わった!という人も多々いるようです。気になった方はぜひ一読することをオススメします。

 

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(初稿:2024年9月15日)

【楽曲レビュー】跳躍 / 日食なつこ

【基本情報】

「跳躍」は、日食なつこさんのPre Debut 1st ミニアルバム「LAGOON」に収録されている曲です。発売日は、2010年7月15日。日食なつこさんは、当時19歳でした。
高校生の音楽甲子園とも呼ばれたストファイHジェネ祭り09のファイナルステージでも披露されています。
なお、「LAGOON」に収録されているのはピアノ弾き語りバージョンであり、1st Full Album 「逆光で見えない」には、バンド編成バージョンが収録されています。

「跳躍」はYouTubeから視聴できます↓

www.youtube.com

日食なつこさんの紹介記事はこちらから↓

シンガーソングライター 「日食なつこ」さんの紹介 - かわずの音の葉

 

【考察&感想】

ちっぽけなあなたを奮い立たせる応援歌

「跳躍」には、”あたし”と、あたしが憧れる”あんた”が登場します。

前半パートは、他人の思惑が気になって、他人と交われない”あたし”の自意識が語られ、それではダメだと自ら叱りつけ、人との交わりを促しています。
一方、19歳の日食さん自身は、一人で音楽をやることを選んでいます。他人と上手く交われない、自身の経験が歌詞のもとになっているのでしょう。

 

バンドの音楽がすごく好きなので組んでみたかったのですが、そういう環境に巡り合うチャンスがありませんでした。人と音楽をやるとぶつかってしまう事が多くて、中学生の時、吹奏楽部に入っていましたが、同じパートのコに直接的に色々言い過ぎて傷つけたりしていました。自分のやりたい事をつきつめようと思ったら、わがままで、色々な人を傷つけてしまいそうなので一人でやっているのだと思います。

【インタビュー】人気急上昇中、注目のシンガー・ソングライター日食なつことは?(田中久勝) - エキスパート - Yahoo!ニュース

 

後半パートは、”あたし”と”あんた”との対比が語られ、取るに足らないちっぽけな”あたし”が描かれています。それでも、”今こそ人混みの中へ飛び込もう/ さああんたよ見ていて”と負けん気とともに、決意を示した言葉で締めくくられています。
このラストが、いかにも日食さんらしい。

 

EMTG:ずっとピアノ弾き語りというスタイルなんですか?
日食:そうですね。でも、本当はバンドがやりたかったんです。綺麗な音楽より、かっこいい音楽に憧れてたから。だけど入った高校にそういう環境がなかったのと、いわゆるコミュ症だったから人を集める力もなく、とりあえずなんでもいいからひとりで続けようと思ってやってきたんです。そうやってるうちに、全国でバンドやってる同い年の奴らはどんどん頭角を現してくるし、もう悔しくてしょうがなくて。こいつらになんとかして食いついていかなきゃと思って、ひとりでいろんなオーディションを受けたりしてましたね。

日食なつこ、セルフプロデュースで完成させた“攻撃的”な勝負作『逆鱗マニア』 | スペシャル | Fanplus Music

 

「跳躍」の歌詞は、日食さんの内面から拾い上げた当時の自意識や感情がもとになっているのでしょう。ただし、日食さん自身は、『他人と交われないなら、いっそひとりでやってやる!』という精神の持ち主ですし、完全に自己を投影した歌詞ではないと考えられます。

 

例えば“跳躍”っていう、かなり初期の曲があるんですけど。「ものすごい葛藤を歌った曲だねえ」とか言われてるんですけど、それこそ私の中ではあの曲は(中略)あの跳ねるリズムの中で、歯切れのいい言葉を並べて、ごった返すようなAメロからの、突き抜けるサビで、みんなをあの音の感じで奮い立たせる、っていうことをやりたかっただけで。
そこまで葛藤しながら書いた曲でもなくて、むしろすごく計算して書いた曲なんですよ。

ピアノソロ弾き語り、その理想を語る! 日食なつこ×komaki対談(2015/12/09)邦楽フィーチャー|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

 

シンガーソングライターとして、誰かを奮い立たせたい、そのための物語と旋律なんですね。

 

まだ青さを感じさせる歌声が聴けるのも、この楽曲のステキなところだと思います。
日食なつこさんの、アーティストとしての原点を記録した1曲である、と言えます。

 

(初稿:2024年9月8日)