かわずの音の葉

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【考察】Metropolis / ROTH BART BARON

【基本情報】

「Metropolis」は、ROTH BART BARONの2nd アルバム「ATOM」(発売日:2015年10月21日)に収録されている曲です。
「ATOM」は、カナダ・モントリオールでレコーディングされており、現地のミュージシャンも参画して制作されています。モントリオールの実験的なサウンドを取り入れようという意図があったとのこと。

 

「Metropolis」はYouTubeから視聴できます↓

 

www.youtube.com

 

ROTH BART BARON/ 三船 雅也さんの紹介記事はこちらから↓

フォークロックバンド「ROTH BART BARON / 三船 雅也さん」の紹介 - かわずの音の葉

 

【考察&感想】

SFという舞台装置であぶり出す、都市に住う人々の埋没した心理。そして、微かに感じる未来への期待。

「Metropolis」は、シンセサイザー・生ドラムと電子ドラム・エレキベースで楽曲が構成されています。トレモロ・リヴァーブといった空間系の音響効果や、1980年代の映画やゲーム音楽に使われたようなシンセサイザーの音色が幻想的なサウンドを作り出しています。
これらは、三船さんが幼い頃に観てきたSF映画のサウンドに影響を受けたものです。

『ATOM』っていうタイトルでアルバムを作るってなった時に、思ってたことがあって。僕、幼少期に90年代から80年代後半のSF映画を見て育ってきたんですけど、昔は週末の夜になるとテレビのロードショー枠でいろんな洋画をやってたじゃないですか。そこで当時、特に最新でもないSF映画――『ターミネーター』とか『ロボコップ』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は全盛になったからバカバカやってたし、『ブレードランナー』とか『エイリアン』シリーズもそうですし、ああいうのをどんどんテレビでやってて。で、幼少期に僕は母の影響で、渋谷のスクランブル交差点に当時あった東宝の映画館で、ゴジラシリーズとかの特撮フィルムだったり、CGが入る前の人力で頑張って作ったセットとかコマ撮りで再現しようとした映画を見てきて、そういうものが好きだったんですよね。だからSFのあの手作り感と、コンピューター感のザラついたミックスした感じがすごく引っかかるというか。で、だいたいああいう映画には、ゲートリヴァーブがバーンとか鳴っていて、サックスとかシンセサイザーが入っているとか、ダッサい音楽が毎回出てきて(笑)。ロックっていうものと出会った時は、ダサすぎてそういうものを取り入れようとも思わなかったですけど、だんだんアルバムを作ってくうちに、そういうサウンドが必要なんじゃないかって。なんか、誤魔化しきれないと(笑)

ROTH BART BARON 壮大にして静謐な音に宿る唯一無二のセンスと思想に迫る (2015/10/23)邦楽フィーチャー|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

 

そして、歌詞の中にも “摩天楼”、”サーチライト”、”水銀のような宇宙船”といったSF映画のようなイメージが埋め込まれています。これらの言葉があることで、どこか近未来の街(=Metropolis)を描いているように捉えられます。

 

ノストラダムスが“世界は滅亡する”って言った’99年って、僕が小学校5~6年生とかなんですよ。それまでは“どうせ世界は終わっちゃうから”って生きてこれたのが、結局終わらないし、カッコ悪く生きていくしかなくなって(苦笑)。そうなると、隣に嫌なヤツがいても当分我慢しなきゃいけないとか(笑)、終わらなくなってしまった世界は、こんなに面倒くさくて大変なのかって。何10万もするスマートフォンをほとんどの人が持ってる国で、何が自分にとって有意義なのか、幸せなのかを考えても、明確な答えは出なくなってきて、信じるものはもっとなくなってきて…日常を生きてて“夢”とか“ファンタジー”について考えることがだいぶ少なくなったなぁって。音楽にはそういう一面があるし、それは逃避のためじゃなくて、そういうことの方が案外真実を雄弁に語ったりすることもある。何かそういうことをずっと考えてたんですよね

「こういうバンドが日本に1組ぐらいいてもいいんじゃないかって」 ROTH BART BARONが音楽への執念も、表現者としてのプライドも インディペンデントなスピリットも、時代の空気と共に刻んだ 異端の新作『ATOM』を語るインタビュー&動画コメント - インタビュー&レポート | ぴあ関西版WEB

 

「Metropolis」の歌詞が描いているのは、都市部に住む人々が抱く違和感や不安感だと考えます。便利で暮らしやすく退屈しない街。そこに住まうことは幸福に思えるけれども、何かを置き去りにしているような、何かに目をつぶって蓋をしているような、そんな感覚が人々の心の奥にある。
SF映画のようなサウンドと歌詞によって、今現在の都市に住まう人々の心理をあぶり出そうとしているかのようです。その一方で、微かにテクノロジーや未来に対する期待感のようなものも同時に感じられる気がします。

 

たくさんのサーチライトに照らされた
水銀のような宇宙船が来るよ
僕ら急いでそれに乗り込んで
みんなのことなど
忘れるんだ

 

僕たちは狂ったように 夢のようなこの街で暮らしてる 

 

〜「Metropolis」の歌詞より一部抜粋〜

 

果たして、"水銀のような宇宙船"のたどり着く先には、何が待ち受けているのでしょうか。

 



 

(初稿:2024年11月24日)